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    Categories: 土検棒概要

土検棒の特徴

土検棒による試験(土検棒貫入試験、ベーンコーンせん断試験)と類似の手法には,各種のコーン貫入試験(簡易動的コーン貫入試験、ポータブルコーン貫入試験など),ならびにベーンせん断試験などがあります。土検棒貫入試験は,他の簡易貫入試験に比べても,コーンの直径がさらに小さく,全体に軽量となっていることが特徴です。

試験器
先端角
コーン直径(mm)
ロッド直径(mm)
重量
貫入力
土検棒
60°
15
10
軽い高い
ポータブルコーン貫入試験
30°
28.6
16
軽い低い
動的コーン貫入試験
60°
25
16
重い高い

このため土検棒は,斜面調査における両貫入試験法の欠点を補っています。

土検棒で貫入できる地盤の強度は簡易動的コーン貫入試験のNd(またはNc)値10~15程度,スウェーデン式サウンディングによる換算N値で10~15程度です。
一般にNd<5(~10)が土層,5(~10)<Nd<30(~20)程度が強風化岩,Nd>30(~20)が弱風化岩とされ,土層と強風化岩の境界ないしは一部強風化岩中にすべり面が形成されることが多いとされます。またN値10~15とは砂の場合は緩い砂~中位の砂とされます。したがって土検棒貫入試験の対象地盤は,主として土質地盤とし,場合により強風化岩などの極めて軟質な岩盤まで適用できます。

一方,欠点としては,周面摩擦の影響があります。ポータブルコーン貫入試験では単管式と二重管式が考案されていますが,本試験では二重管式は装備していません。
これは

  • 表層崩壊の発生しやすい斜面の土層深は通常2~3m以内であり,この程度の土層深であれば周面摩擦の影響は比較的小さいと考えられること
  • 動的コーン貫入試験でも単管式のみが用いられていること
  • 二重管にすると可搬性が損なわれること

などによります。

 

ベーンコーンせん断試験とベーンせん断試験の違いは、鉛直荷重の有無です。

試験鉛直荷重測定内容
ベーンコーンせん断試験(土検棒)内部摩擦角・粘着力
ベーンせん断試験せん断強度

ベーンせん断試験は,地盤中のせん断強度を測定できますが,せん断面に対する鉛直荷重をかけられないので、内部摩擦角や粘着力を求めることができません。
いっぽう,ベーンコーンせん断試験は,ロッド方向に荷重をかけることでせん断面に対する鉛直荷重を作用させることができます。複数の荷重条件で試験すると,現位置の含水条件における内部摩擦角と粘着力を求めることができます。


 

大久保(環境地質サービス):